ベンチャー グローバル 西海岸便り
 
HOME
GlobalLINKER
 
お問い合わせ お問い合わせ

サイト検索
 

「図解アメリカのソーシャルメディア・ビジネスのしくみ」

ボタンはじめに ボタン目次 ボタン本を購入する

 


はじめに

 日本では、ここ1年ほど、フェイスブックがブームだ。ファイスブック入門編からフェイスブックのビジネス活用法まで書籍やセミナーが大流行している。
今、「ソーシャルメディア革命」が叫ばれ、「ソーシャルメディアを使わないと時代に乗り遅れる」「ソーシャルメディアで儲けないと」とわけもわからず、飛び込む人や企業が多い。
同時に、「SNS疲れ」という表現も聞かれるようになった。アメリカの調査でも、フォーチュン500企業でソーシャルメディアの導入の鈍化を示唆する結果も出ている。

 筆者は、アメリカで10年ほど前のドットコム(IT)バブルを経験した。
当時は、Eコマース(インターネットを利用した取引)が台頭し始め、日本の大手企業の依頼を受け、アメリカのドットコム企業(インターネット関連のビジネスを手がけるベンチャー企業)のビジネスモデルを調査・分析していた。
当時、メディアでもてはやされていた企業のほとんどが、財務諸表を見ると大幅な赤字だった。利益はおろか、売上さえ上げていない企業もあった。
当時はIPO(新規株式公開)ラッシュで、それらの会社は大赤字でも、次々と株式公開をしていた。
 2000年にバブルがはじけ、ナスダック株式市場は2002年、ピークの2000年から8割近く下落した。多くのドットコム企業は消え、生き残ったのは、アマゾン、Eベイ、ヤフーなど一握りだ。
ソーシャルメディアにしても、数年前は、アメリカではSNSといえば、マイスペースだった。それが、今では、ほとんど忘れられた存在だ。日本でも、大流行したミクシィに当時の勢いはなくなっている。今、流行っているSNSも、今後、どうなるかわからない。
 かといって、「ソーシャルメディアなんて一時の流行り物だから、やっても無駄ですよ」といいたいわけではない。今ではネットショッピングは日常生活の一部となり、インターネットは、従来のメディア同様、いや、それ以上に、現代生活に欠かせないメディアとなった。
ソーシャルメディアは、我々のコミュニケーションスタイルを大きく変えつつあり、顧客との接し方だけでなく、製品設計から販売方法までも変えようとしている。

 要は、「ソーシャルメディアが流行っているからうちもやってみよう」ではなく、「ソーシャルメディアとは、こういうもの。うちの事業に、どう役立つのか見てみよう」「当社の事業戦略に、どう組み入れられるか」の視点で考えるべきなのだ。
一般の企業にとって、ソーシャルメディアはあくまでもビジネスツールであり、ソーシャルメディアがビジネスではないのである。
 業界やターゲット市場によっては、「現時点では、当社は、ソーシャルメディアを本格的に導入する時期ではない」という結論に達する企業も出て当然である。
何のバブルにしろ、ブームにしろ、ボトムラインは変わらない。生き残るのは、確実に収益を上げる企業だ。

 考えた末に、「ソーシャルメディアを活用することにした」のであれば、ぜひそのメリットを最大限に活かし、成果につなげていただきたい。
筆者は、多額の経費をかけなくても手軽に導入できるソーシャルメディアは、大企業よりも、中小企業にメリットがあるのではないかと考えている。詳しくは本文で述べていくが、個人でも安価で世界を相手に商売ができるようになった点は大きい。

 本書では、アメリカ企業のソーシャルメディア活用例を紹介しているが、多くの日本人も知っている大企業の例のほか、日本ではまず知られていないような中小企業、個人事業主や非営利団体の例も紹介している。
彼らが、数あるソーシャルメディアをどのように組み合わせて、どのように応用しているかを見て、日本での活用の参考にしていただければ幸いである。
 日本の企業の皆さまには、ブームに流されず、各種ソーシャルメディアの特徴を理解し、各社の事業目標・戦略に応じたものを組み合わせて、着実に収益や企業価値向上につなげていただけることを願うばかりである。

2012年2月
有元美津世

 

BACK

HOMEお問い合わせベンチャーグローバル西海岸
1996-2012(c) GlobalLINK All rights reserved