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アメリカのSOHOの現状



 調査会社の調べによると、アメリカでは、企業の在宅勤務者を含めたホームオフィスの数は、96年の1600万から2000年には3660万と3倍近くに増加した。売上を上げているホームオフィス(つまり在宅ビジネス)の数は、99年の1880万から2000年には2030万と8%の伸びを示したが、96年から97年にかけての29%の伸びに比べればかなり鈍化している。2001年には2180万に達する見込みだが、伸びは7%に留まる。

 アメリカでは90年代後半、景気、雇用市場の回復とともに、レイオフなどによって仕方なく起業を始めた人の中には会社勤務へと戻っていった人も多く、SOHOの成長率は一時より鈍化した。しかし、今、アメリカでは景気が後退し、バブルのはじけたIT部門だけではなく、様々な業界で大量の人員削減が行われている。雇用市場が不安定になればSOHOが増えるのは、過去の例を見ても明らかだ。

 南カリフォルニアに住むビルは、勤務先がカリフォルニア工場を閉鎖して、同工場の勤務者150人全員をレイオフするため、今、再就職先を探している。彼は、5、6年前にも、勤めていた会社でレイオフにあったのが、再就職先が見つからなかったため、その後、在宅ベースで長距離電話サービスの販売をしていた。元々、経理畑出身のビルに営業の仕事は合わず、売上は伸び悩んでいたようだ。昨年、大企業で経理関係の仕事を見つけたのだが、今回、その職も失ってしまったのだ。すでに50歳のビルが、再就職先を見つけるのは難しい。長距離電話サービス販売の仕事は今も細々と続けているため、再就職先が見つからなければ、またSOHOに戻ることも考えている。

 もちろん、SOHOを始める人たちが皆、ビルのように仕方なしにSOHOを始めるわけではない。自由、柔軟なライフスタイル、意義、充実感などを求めて、自らの意志で企業を去る人たちが大半を占める。特に女性は企業に勤めながら子育てをするのは無理と、SOHOを選ぶ人が多い。

 今年、出版された『フリーエージェント国家』という本では、従来の企業-従業員という雇用関係にとらわれない新しいスタイルで働くフリーエージェントが急増しており、これが今後アメリカ社会の主流となると分析している。

 こうした傾向を促している一因がテクノロジーであることはいうまでもない。アメリカの一般家庭のコンピューター所有率は52%だが、ホームオフィスでは78%に達している。コンピュ-ターを所有するホームオフィスのうちインターネットアクセスのある割合は、96年の26%から99年の終わりには81%にと上昇した。これは、2004年には92%に達すると予想されている。つまり、コンピューターやインターネットは、ホームオフィスでは必需品ということだ。 こうした通信技術を利用したSOHOビジネスのひとつに、バーチュアルアシスタント(VA)がある。VAとは、電話、ファックス、電子メールを用い、クライアントとの物理的距離には関係なく、郵便送受、スケジュールの管理、アポイントや会議のアレンジ、出張の手配、経理業務、ホームページ作成などのサポート業務をこなすアシスタントのことだ。自宅にクライアント用の電話線を引き、そのクライアントにかかってくる電話はすべてVAが答えるということもできる。「自宅に他人を入れたくない」「余分なスペースがない」「人材派遣会社は、ホームオフィスには社員を派遣してくれない」というSOHO事業者にはぴったりのサービスだ。

 また、電話とインターネットを使ってバーチャルでVAを養成するビジネスも登場している。経営者も講師もそれぞれ在宅で仕事をこなす。

 スモールビジネスが、限られた資本と人材でビジネスを展開するためには、テクノロジーをいかに駆使するかが鍵といえるだろう。


有元美津世/月刊『CYBiZ SOHOコンピューティング』(サイビズ社)1月号掲載
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Revised 2002/01/01 web2@getglobal.com
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