|
|
|
アメリカ最新ビジネス |
Y世代向け新ビジネスとネット利用の便利ビジネスが大増殖中
アメリカでは、今、Y世代市場が注目を集めている。Y世代とは、X世代に続く、5〜20歳くらいの世代を指す。不景気時に大学を卒業し、悲観的で怠け者というレッテルを張られたX世代とは相対的に、好景気に恵まれたY世代は楽観的で自信に満ちている。ベビーブーム世代にあたる親も経済的に裕福で、親子ともども消費欲が旺盛である。
子供とティーンにはさまれた9〜12歳の年齢層を指して「トゥイーン」という言葉も生まれている。
20歳以下の人口はすでに7760万人とベビーブーム世代を抜いている。特に10代の総消費額は、99年には1400億ドルを超えたと見られている。彼らは、さらに4500億ドルの親の購入決定に影響を及ぼす。
また、将来の顧客層の形成という意味でも、販売側にとっての存在は大きい。
そこで、アメリカでは、Y世代をターゲットにしたアパレルチェーン店や通販カタログなどのビジネスが次々に誕生している。
99年にオープンしたロサンジェルスにのスキン・マーケットは、10代の女の子向けに化粧品を販売している。女の子たちがリラックスした雰囲気で化粧品を試せるように、TVスクリーンを備え、音楽を聴いたり、雑誌を読んだり、友人とくつろげる場所を提供。店内で誕生日パーティーなども開かれる。
化粧品以外に音楽や書籍、彼氏との「お別れキット」なども販売。「お別れキット」には、化粧品のほか、「元彼氏をヒキガエルに変える魔術」なるハウトゥ本やブードゥー人形(日本でいえば丑の時参り人形)がセットになっている。
同社では、最近、ウエブサイトを立ち上げ(www.skinmarket.com)、オンラインショッピングを可能にした。サイト上では、誕生日などに「ほしい物リスト」を作り、親や友人などに電子メールで送ることができる。
生まれたときからデジタル時代で、携帯もポケベルもコンピューターも日常生活の一部として育った彼ら。ネットサーフィンやオンラインチャットをしながら、友達と携帯で電話し、同時にTVを見たり、音楽を聴くというのが彼らのスタイルだ。
事実、Y世代のインターネットユーザーは、もっとも急速に増加するインターネット人口層である。ある調査によると、98年にはインターネットユーザー数は、5〜12歳の年齢層が860万人、13〜18歳の年齢層が840万人であったのに対し、2002年にはそれぞれ2190万人(155%増)と1660万人(97%増)にのぼると予測されている。1〜17歳の年齢層は、現在、全人口に占める割合は26%だが、インターネット人口の29%を占めている。
この世代は、他の世代に比べ、TVを見る時間が少なく、インターネットで過ごす時間が長い。13〜18歳のインターネットユーザーの67%、5〜12歳のユーザーの37%がオンラインで商品情報を得たり、商品を購入したことがあると答えており、2002年には13〜18歳のユーザー層は12億ドル、5〜12歳のユーザー層は1億ドルのEC市場になると予想されている。
また、5〜17歳の52%がウェブで見たものを買ってほしいと親に頼んだことがあり、6人に1人がオンラインでの購入を親に許されており、7人に1人が実際に購入をしたことがあるという結果が出ている。
消費欲旺盛な世代だが、自分名義のクレジットカードを持っていないため、オンラインでの購入は限られる。購入の際には親に頼まなければならないというのが現状だ。そこで、親のクレジットカードで口座を開き、子供がバーチャル貨幣を使ってAmazon.comやCDNowなどの提携サイトでオンライン購入ができるRocketCash
(www.rocketcash.com)や、オンラインで銀行口座を開き、子供が自分でその口座から支払を行なえるiCanBuy
(www.icanbuy.com)やDoughNet
(www.doughnet.com)などのサイトが登場している。
これらのサイトでは、親が最高消費額や購入のできるサイトを予め設定することができる。チェックアウトの際には、親のパスワード入力を必要としたり、買物をするたびに電子メールで通知が来るように設定することも可能である。つまり、月々のこづかいを現金で渡す代わりに、オンライン口座に入金し、子供が何を買い、いくら消費したかを親は随時モニターできるというわけだ。
子供も、予算を組んだり、購入の際には、「○○を買うと残高がいくらになる」というのが閲覧でき、子供に金銭管理方法を教えるツールとして役立つと、これらのサイトでは宣伝している。
その他、インターネット上では、Alloy Online (www.alloyoneline.com)など、Y世代向けコミュニティも登場している。
アメリカでは、数年前から日本を抜いて、労働時間が世界最長となっている。現在、全世帯の半数以上が共働きであり、共働き夫婦の年間労働時間は、10年前に比べ185時間延びている。こうした多忙なライフスタイルを反映し、利便性を提供するビジネスが各種生まれている。
たとえば、かつてはホテルにしかなかったコンシェルジェサービスが、今では個人向けに提供されている。パーソナルコンシェルジェでは、買物やギフトの購入・送付から、コンサートのチケットの購入、パーティーの企画準備、ホームオフィスの整頓まで、あらゆる作業を引き受ける。
企業と契約するコーポレートコンシェルジェでは、クライアント企業の社員向けに、ドライクリーニングの受付や医者の予約、託児所探しまで引き受ける。こうしたサービスを福利厚生の一部として導入している企業もある。
買物に行く暇がないという人には、インターネットで注文すれば食料品や日用品を宅配してくれるオンラインスーパーが人気がある。オンラインスーパー老舗のPeapod(www.peapod.com)は、各地域のスーパーと提携し、顧客からの注文に応じスーパーから配達するオンデマンド形式を取っていたが、運営コスト削減のために99年から倉庫型に移行。初の全米型オンラインスーパーとして登場したNetgrocer(www.netgrocer.com)は、フェデラルエクスプレスと提携し、全米に配達するために、非生鮮食料品に限定。現在は、医薬品やペット用品、娯楽商品なども販売している。
東海岸で展開しているStreamline(www.streamline.com)では、インターネット以外に、電話やファックスでも注文を受け付け、食料雑貨品の配達から、ドライ・クリーニング、靴修理、写真現像、郵便、レンタルビデオの貸出返却までを引き受ける。同社では、当初から大手消費者製品メーカーと組み、配送センターを構築。配達は週に1度の固定型である。
同社のシステムはお客の家にある食料品のバーコードをスキャンし、個々の家庭の買物リストを作成。特許取得済みの冷蔵庫と冷凍庫、棚を組み合わせたストリームライン・ボックスを家のガレージまたは地下室に設置する。ストリームライン・ボックスは、暗証コードで開閉でき、顧客が配達時に家にいる必要はない。宅配サービスを行なっても、受け取りのために自宅にいなければならないのであれば、その利便性は半減するからだ。
この分野には他にHomeGrocer (www.homegrocer.com)やWebvan(www.webvan.com)が新規参入している。Webvanでは、食料品以外に、医薬品やアルコール類も販売。50ドル以上の注文は無料で配達している。多種類の商品を少数で消費者に向け配達する必要のあるEC用に非常に自動化された倉庫を建設しており、今後2年で26都市に同様の倉庫を建設する予定だ。
また、オンラインコンビニとでもいえるKozmo(www.kozmo.com)では、レンタルビデオのほか、CD、DVD,コンピューターゲーム、雑誌、書籍などの宅配サービスを行なっている。オンラインで注文すると1時間以内に宅配。ビデオと一諸にスナックや飲料水も宅配する。ビデオは、提携している小売店やスポーツクラブに返却可能であり、配達時に返却受取サービスも提供している。今後、ペット用品、医薬品、電化製品なども販売する予定である。
アメリカではファーストフードを中心とした外食産業、スーパーの惣菜ビジネスも隆盛を極めている。97年には、レストラン内での食事をレストランからのテイクアウトの数が上回った。
複数のレストランと契約し、注文を取って配達をするレストラン宅配サービスが各地で普及している。加盟レストランのメニューを掲載したカタログを地域住民に配布し、レストランに代わってマーケティング、顧客サービス、配達までを行なう。
インターネットベースのFood.com では、レストラン、スーパー、レストラン宅配サービス業者と提携し、インターネット上で注文を受け、それを加盟店に転送してレストランから料理を宅配する形を取っている。
自宅で調理した料理を食べたいという人には、プロのシェフが出張して希望の献立を作ってくれるパーソナルシェフサービスもある。
インターネットベースのFood.com では、レストラン、スーパー、レストラン宅配サービス業者と提携し、インターネット上で注文を受け、それを加盟店に転送してレストランから料理を宅配する形を取っている。
自宅で調理した料理を食べたいという人には、プロのシェフが出張して希望の献立を作ってくれるパーソナルシェフサービスもある。
以上、アメリカで話題のビジネスを紹介したが、若い世代の傾向や、利便性提供サービスに対する需要の伸びは、日本でも類似している。日本で展開するには、日本市場に合った形にアレンジが必要だが、この中から“アメリカ発・流行ビジネス”の成功例が現れることを期待したい。
|
|