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有元美津世のアメリカ西海岸便り

タダより高いものはない?


 先週末、自動車ショーで無料で車を乗り回した後のある週末は、無料健康診断を受けに行った。

 地元の私立病院が「コミュニティ健康デー」とし、インフルエンザ予防接種、アレルギー検査、皮膚ガン検診などを無料、前立腺ガン検診などを低料金で提供していた。無料サービスの大好きな友人、マリアが知らせてくれ、一緒に行くことにした。彼女はすでに職場で5ドル払ってインフルエンザ予防接種を受けていたが、25ドルの骨粗しょう症検診や、皮膚ガン検診を受けに行きたいという。

 8時から開始ということなので、9時ごろ病院で待ち合わせることにした。病院に着くと、各診断コーナーにはすでに長い列ができていた。まずインフルエンザの予防注射を受けに行く。列はかなり長いが、次々進むので、15分ほどで順番が回ってきた。

 次はアレルギー検診。私は子供の頃からメッキものは肌につけられないなど、皮膚に関してはよく問題が生じていたので、以前から何に対してアレルギーなのかを知りたいと思っていた。渡された番号札は84、検査を受けている人たちは50番代だったので、かなりの待ち時間だ。順番が回ってくるまでに、他の検査を受けることにした。となりでは、骨粗しょう症検診をやっていたので、待ち合わせたマリアを探したが見あたらない。

 それなら血液検査でもしてコレステロールのレベルでも測ろうかと思ったが、30ドルかかるという。日本で献血を受ければ、無料で血液検査をして、ジュースをくれる。前回は生卵1ダースまでもらった。次回、日本に帰ったときに献血に行くことにしよう。

 やっとアレルギー検査を受ける順番が回ってきた。15分後に反応をチェック。結果は、草に対するアレルギー。つまり花粉症ということだ。医者はそう言うだけで、アドバイスも何もくれない。「私は生まれつき肌が弱く、皮膚科専門医にも何人か見てもらったが、アトピー性皮膚炎で直しようがない、このまま生きるしかない、と言われた。何となからないのか?」と言っても、「ならない」と言うだけで、「グズグズしてないで、とっとと帰れ」と言わんばかりの様子だ。やはりこのまま生きるしかないようだ。

 前から一度足を見てもらいたいと思っていたので、足・くるぶしコーナーに行ってみると、探していたマリアが並んでいた。私も並んだが、列は短いもののほとんど前に進まない。

 私はあきらめて、体内脂肪測定に向かった。機械を使うのかと思ったら、なんと三角定規で二の腕とウエストと太ももを測られた。「機械は使わないんですか?」「こちらの方が正確なんです」 私の脂肪分は20%と出た。30代の女性としては平均より少ない。以前、機械で測ったときも同じくらいだったから、正確ということにしておこう。

 足・くるぶしコーナーに戻ると、ちょうどマリアの順番が来たところだった。医者は、ちょっと足をさわった後、彼女や私と雑談を始めた。5分ほど雑談をした後、名刺やパンフレットを渡されて終わり。ちゃんと見てほしければお金を払って診察に来いということか。「まったく時間の無駄だった」と1時間以上も並んだマリアは激怒。その横で、私は「並ばなくて正解だった」と胸をなで下ろした。

 彼女の話では、骨粗しょう症検診は、9時半頃番号札を渡され1時に戻ってくるように言われたという。そこで皮膚ガン検診に向かったが、やはり長い列。彼女はあきらめて、私と一緒に近くのレストランに昼食に向かった。しかし、そのレストランにもブランチを取ろうと待つ人の列が…

 昼食後、彼女を病院に送って私は帰宅した。私の場合は2時間半ほどで、無料でインフルエンザの予防接種とアレルギー検査を受け、体内脂肪をチェックしてもらいまあ満足していた。しかし、マリアはほとんど1日をその病院で過ごし、骨粗しょう症検診と皮膚ガン検診を受け、フットドクターと数分雑談をするだけで終わってしまった。検診を無料、低料金で受けたものの、土曜日を1日無駄にしてしまったのだ。時間をお金に換算するとかなり高くついている。結局、タダほど高いものはないということか。


有元美津世/N・O誌1999年2月号掲載  Copyright GloalLINK 1997-1998

Revised 3/4/99

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