米国ニュービジネス発掘−22−

スモールビジネス売買仲介 
世界各国でFC展開

会社名:Sunbelt Business Brokers Network, Inc.
設 立:1979年(1993年FC化)
代表者:Edward T. Pendarvis
URLhttp://www.sunbeltnetwork.com

 アメリカにある1700万の(株式非公開)ビジネスのうち2割が一度は売りに出されると言われる。そうしたビジネスの売買の仲介をするのがビジネスブローカーだ。この市場に「信じがたいほどのポテンシャル」を見い出したサンベルトビジネスブローカーズネットワークでは、ビジネス仲介業をFC化した。

 同社がおもに対象とするのは、売上100万ドル以下、従業員20人以下のスモールビジネスだ。たとえば、自動車修理工場、旅行代理店、花屋、美容院、レストラン、バーなどで、売り値はほとんどが10万ドル以下だ。ブローカーたちは、こうしたスモールビジネスにとって大変な作業である買い手探し、価格設定、交渉、法的手続き、ファイナンス手続きなどを引き受ける。売買が成立すれば、ブローカーは売却額の10%、最低料金1万ドルを受け取る。

 ビジネスが売りに出される理由は、たいていの場合、経営上の理由ではなく、経営者の死、病気、離婚など、個人的な理由が多いという。買い手の方は脱サラ組が多い。現在、好景気のアメリカでは労働市場は供給不足だが、90年代初め不景気の間にレイオフされた人々は再就職はしたものの、以前より低収入の低いポジションに甘んじている人たちが多く、「高学歴で管理職経験があり、働き者の優秀な買い手がたくさんいる」とエドワード・ペンダービス社長はいう。また、買い手には海外からの移民も少なくない。ビジネスを購入することによって投資ビサなどの取得が可能になるからだ。

 不動産売買で長年の経験をもつペンダービス社長によると、不動産とビジネスの仲介が大きく違うのは、機密保持?どの経営者も自分の会社が売りに出ていることを取引先や従業員には知られたくない、そしてファイナンス?銀行はスモールビジネスにはお金を貸さない点だという。

 また、不動産売買の場合、売り手と買い手の間に信頼関係が生じる必要はないが、ビジネスの売買の場合、この信頼関係が非常に重要になる。というのは、ひとつには、売りに出されるビジネスの9割は売り手がローンを提供するからだ。たとえば、10万ドル相当のビジネスの場合、頭金4万ドルで、残りは金利6-7%の5年払いというように、買い手は購入時に頭金を支払い、残りは売り手に月々の支払いを行なう。残りの1割の物件は中小企業局のローンを利用するが、中小企業局のスモールビジネスの定義は「従業員500人未満」というものであり、スモールビジネスの実態を把握しているとは言いがたい。

 サンベルトはもともと79年に創立。83年にペンダービス社長が購入した後、91年まではチャールストンの事務所のみでの運営だった。同年にサウスキャロライナ州の別の都市にパートナーを得、パートナーシップを通じ、他の都市にも事務所を広げた後、93年にFCに転換。ペンダービス社長がFC形態を選んだ理由は、「運営者が所有者でもあるということは重要。自分のビジネスであれば、皆、一生懸命働くから」だ。現在、同社のFC加盟店は、全米および海外に130にのぼる。

 各FC加盟店では、ブローカーを1〜4人雇っており、平均的FC加盟店の売上は400万ドル、手数料にすれば30万〜40万ドルだ。FC加盟料金は人口10万人未満の地域では5000ドル、それ以上の地域では1万ドル。同社ではロイヤルティ制ではなく、固定料金支払い制をとっており、フランチャイズの規模により年に2回1500ドルまたは3000ドルを徴収する。「加盟店にビジネスを続けてもらうためのインセンティブ。売上を伸ばせば伸ばすほど、加盟店に残る金額が増えるシステムです」(ペンダービス社長)
 その他、事務所の準備や運営資金などに5200ドルから5万ドルの創立資金が必要だという。

 同社では、新しいブローカーのための研修をアトランタ、ダラス、シカゴ、フェニックス、ロサンジェルスなど、全米主要都市で毎週開く。この研修は、今もペンダービス社長が自ら行なっている。また、一年目は、定期的に加盟店を訪れてサポートを提供し、ビジネスの売り手や買い手を対象としたセミナーも開催する。加盟店がFCを売却したい場合は、そのサポートもする。「大きな需要があるので、売却は問題ない」という。

 FC加盟店はサンベルトネットワークデータベースシステムを利用することができる。データベースには全米および海外加盟店が扱う約2000件の物件が掲載され、買い手や取引状況が入手可能だ。物件ヘSICコード、都市、価格、年商、キャッシュフロー、ビジネス概要が閲覧でき、州だけでなく、SICコードでも検索ができる。情報は常時アップデートされ、システムにはインターネットアクセスさえあれば、どこからでもアクセスできる。また、同じ地域のブローカーの間では情報の共有もできる。システムは、ブローカー間の電子メールのやりとりや本部から加盟店への情報配布にも使われる。現在、ウエブサイトに物件を載せているのは加盟店の4割だが、近いうちに全加盟店をネットワーク化する予定だ。

 インターネットは広告媒体としても効果的で、海外を含め問い合わせの多くは、同社のホームページを通じて入ってくるという。昨年、フランチャイズ開発会社のフランコープ社と提携し、新しいFCおよび既存のFCの売買に関しサンベルトを推薦してもらい、サンベルトの方はFC化に適したビジネスをフランコープに紹介するという特約を交わした。 

 カリフォルニア州など一部の州では、ビジネスブローカーになるのに不動産取引免許を要するが、これは州政府のビジネス売買に対する認識不足によるものとペンダービス社長は言い切る。先に述べたように、不動産売買とビジネス売買は、まったく性質が異なるものだ。

 「政府にはスモールビジネスが理解できない」というペンダービス社長の目標は、私設中小企業局となることだ。「われわれはスモールビジネスを理解している。アメリカの全ビジネスの9割を占めるスモールビジネスを助けたい」

 将来は、売買だけでなく、コンサルティング、ビジネスローン、鑑定などのサービスを提供するつもりだ。現在、ブラジル、チリ、コロンビア、韓国、ノルウエー、ポーランドにFCがあるが、今後、世界中にFC網を広げる予定だ。

 


有元美津世/ベンチャーリンク誌1998年10月号掲載  Copyright GloalLINK 1997-1998

Revised 11/5/98 web2@getglobal.com

「米国ニュービジネス発掘」インデックスへ