米国ニュービジネス発掘−33−
オンラインダイエットプログラム
会社名:eDiets
設 立:1996年
代表者:David Humble
URL:http://www.ediets.com
インターネットビジネスの普及により、日常生活の多くのことがインターネット上でできるようになりつつあるが、アメリカではダイエットもインターネットでできるようになった。
eDietsでは、インターネット上で各顧客のニーズに合わせたカスタムメードのダイエットプログラムを提供している。会員が入力した年齢や身長、体重、減量目標、食事プラン、日ごろの運動量などをもとに、毎週、各会員向けカスタムメードの一週間分の献立、ショッピングリスト、運動リストを作成。会員はそれをオンラインで閲覧、印刷する。週の終わりには、会員はその週の報告をオンラインで行ない、毎週、グラフで成果を見ることもできる。
会員は、各自の減量目標、ライフスタイル、健康状態に合った減量プランを選ぶことができる。忙しくて料理をする暇がないという人には冷凍食品などを含んだ「簡単プラン」、自分で料理をしたいという人には「調理プラン」、朝食や昼食は作る暇がないが夕食だけは作りたいという人には「混合プラン」、菜食主義者には「ベジタリアンプラン」の4プランが用意されている。ショッピングリストは、一般のスーパーで購入できる12000品目からなる。
オンラインヘルプデスクでは、チャットを通じ、会員の質問にリアルタイムで対応。電話での問い合わせにはフリーダイヤルのホットラインを提供している。その他、栄養士と心理学者へのQ&Aコーナーや、毎週栄養士とのオンラインミーティングも開催される。
また、ダイエットを成功させるために会員同士が励まし合えるよう、さまざまな掲示板も用意。ダイエット仲間を探すための「仲間探し掲示板」、やる気を起こすためのアイデア交換ができる「やる気起こし掲示板」、「新会員用掲示板」、「男性向け掲示板」などで活発な情報交換、交流が行なわれている。
オンラインのダイエットストアでは、ダイエットに関する書籍、運動器具、カスタム調合のビタミン剤も販売している。
料金は、年会費一括払いの70ドルと、登録料10ドルプラス1ヶ月25ドルずつの3ヶ月分納があるが、既存のダイエットプログラムに比べてかなり割安だ。
eDietsを創立したデイビッド・ハンブル社長は、もともとスーパーに電子キオスクを設置し、パーソナライズド(個人向けカスタムメード?)のダイエットプログラムを提供するつもりでソフトを開発した。しかし、一台目をスーパーに設置したところ、まったく反応がなかった。ちょうどインターネットビジネスが普及し始めたころであったため、このパーソナライズドダイエットプログラムをインターネット上で展開することを思いついた。
現在の会員数は約5万人。無料自己プロフィールを記入したユーザーは70万人以上に達する。プロフィールを記入したユーザーの多くが、いずれは会員になるそうだ。会員の9割以上が減量に成功するという。
同社の収入は会費と製品販売に対する提携先からのコミッションからなる。インターネットは無料という固定観念は消費者の間に根強く、多くのインターネットビジネスが会費収入を試みて失敗しているが、同社は創立当初から会費の徴収に成功している。
その秘訣は、パーソナライズドサービス、プライバシー、利便性の提供にあるとハンブル社長は言う。
アメリカには、ウエイトウォッチャーやジェニークレイグといった全米にチェーン店をもった既存のダイエットプログラムがいくつかある。しかし、こうしたプログラムでは、わざわざ出向いてクラスに出席しなければならない。肥満で悩んでいる人の中には、グループ形式を嫌ったり、ダイエットしていることを他人に知られたくないという人も多い。
同社は、今年、男性向けプログラムを開始したが、既存のダイエットプログラムはほとんどすべて女性向けで、男性のニーズに合ったものはない。特に男性は、女性ばかりのダイエットプログラムに参加するのは抵抗がある。「eDietsの一番の魅力は、匿名で参加できるところです」とハンブル社長は自負する。
また、こうしたダイエットプログラムでは、自社ブランドの食品をプログラムに取り入れており、割高になる傾向がある。 eDietsではどのスーパーにでもある一般の食品を勧め、特別な価格を支払う必要はない。
また、24時間いつでもアクセスできるという利便性がある。掲示板など通じて、時間や場所にとらわれず、大勢の仲間と励まし合えるというのも大きな魅力だ。
オフラインの競合会社もオンライン進出を図っているが、心配はしていないとハンブル社長は言う。「彼らのジレンマは、オンライン進出によってオフラインの顧客を自ら食ってしまうこと。さらにオフライン店舗維持による固定費が負担となる」。
同社の社員は栄養士と心理学者も含めてわずか10人。電子メールの問い合わせには自動応答するなど、ほとんどの作業が自動化されているので、小人数でも可能だという。
eDietsでは、インターネットビジネスとしては珍しく、すでに利益が出ている。ブランド構築のために巨額の資金をマーケティングにかける華々しい有名サイトとは違い、何にお金をかけるか、慎重にマーケティング方法を選んでいるからだという。
マーケティングは、オンラインのバナー広告やAOLのヘルスチャネル、検索エンジンのキーワード広告など。顧客の半分が有料広告、あとの半分が広報活動やクチコミによるものだという。
現在、会員は30カ国にまたがる。献立はアメリカのスーパーにあるものを基準にしているので、海外のスーパーでは見つからないものも多い。将来は、各国の栄養士と組み、サイトをローカライズするか、ライセンスすることを考えている。
また、国内では、医師と提携し、処方箋薬を含めたダイエットプログラムを提供する予定だ。
有元美津世/ベンチャーリンク誌1999年9月号掲載 Copyright GloalLINK 1997-1999
Revised 9/26/99 webmaster@getglobal.com
「米国ニュービジネス発掘」インデックスへ
|