米国ニュービジネス発掘−45−
独自技術の機器提供で差別化 健康・医療情報提供サービス
会社名:Stayhealthy.com, Inc.
設 立:1995年
代表者:John Collins URL:http://www.stayhealthy.com
米国では、健康医療関連サイトがウエブ上に1万7000以上もあると言われ、乱立状態である。消費者向け医療サイトは情報提供型のものが多く、収入はたいてい広告収入に依存している。競争が激しくなる一方、EC(電子商取引)への移行も容易ではなく、破産寸前の有名健康サイトもある。
こうした中、ロサンゼルスにあるStayhealthy.comは、ハードとソフトを組み合わせた独自の技術と、パーソナライズドサービスで差別化を図っている。
同社は、燃焼カロリーや体脂肪を測定・モニターするツール『CT1パーソナル・カロリートラッカー』を顧客に提供。そのデータを顧客自身が専用ウエブサイトにアップロードし、自分のリアルタイムの健康をチェックする。
「顧客自身に関するリアルタイムの情報を提供しているのは当社のみ」と、同社の創立者ジョン・コリンズ社長は自負する。
CT1は、ポケットベルのような形をしており、万歩計のように腰につけると、体の動きを測定、記録し、燃焼したカロリーをモニターする。
これをコンピューターに接続したドッキングステーションに差し込むだけで、CT1のデータがウエブサイトにアップロードされ、自分専用のページで燃焼カロリーのグラフが表示される。
グラフは過去24時間、1週間、1ヶ月、1年単位で、点線、棒線、または3Dグラフで表示可能だ。グラフでは自分の一日の目標燃焼カロリーを設定することもできる。
個人データのページはパスワード制になっており、トレーナー、医師、栄養師など一定の人間がデータにアクセスできるように設定することも可能。データはCT1に7日間保存でき、予め設定しておいたカロリーに達すると、アラームが鳴るように設定することもできる。
CT1は、複軸ピエゾポリマー加速度計技術を利用し、RAMチップを内蔵。3次元で体の動きを記録・保存後、ソフトで同社開発のアルゴリズムを使ってカロリー計算をする。
「一般には測定されないスピン時のカロリーなども、特別なアルゴリズムを使用して計ることができます。ランニングマシンに搭載されているようなカロリー測定機は、カロリー計算もそのユニット内で行なうため、アルゴリズムを変更することができません」と、同社のコミュニケーション担当副社長のピーター・ビルズマ氏はCT1の特徴について語る。
CT1は現在ベータテスト中で、10月には、もう一つの製品、『BC1身体成分トラッカー』も発売される予定だという。BC1は身体の構成分をモニターするもので、BC1に手を触れるだけで、バイオ電気インパルスが体を流れ、体脂肪、筋肉量、体水分などが測定される。これもコンピューターにつないで、ウエブサイトでのグラフ表示が可能だ。
水分は、皮膚の状態、美容、免疫システムなどに重要な影響を及ぼすといわれ、「当社の製品は“病気(ill)”のためのものではなく、“健康(well)”のためのものなのです」(ビルズマ氏)
BC1は、ドッキングステーションともなっており、同社では将来的に、CT1とBC1をセット販売したい考えだ。その場合、月に10ドル程度の会費を徴収する予定だという。
CT1、BC1の用途は、ダイエットプログラムやダイエットソフトなどとともに利用したり、糖尿病、心臓病、喘息患者などの治療に利用したり、また運動やトレーニング向けなど幅広い。
もちろんStayhealthy.comの事業はこのCT1、BC1関連だけではない。健康・医薬・栄養・フィットネスに関する詳細な情報提供サービスも実施している。同サイトの医薬情報データベースでは、たとえば、『バファリン』などの薬品名で検索ができ、各薬品に関し、写真、効用、服用方法、注意、副作用の恐れ、使用前の注意などが表示される。
ユーザーが健康に関する書き込みができる掲示板や、 食品の名前を入れるとカロリーや栄養分を表示するカロリー計算機なども搭載している。
コンテンツはすべて、同社のバイオ医療情報ディレクターで、南カリフォルニア大学ノリス癌センターの放射腫瘍学・分子微生物学助教授によって承認されたものであり、また同社では、有名な小児神経外科医師やハーバード大学の進学教授などで医療アドバイザリーボードを形成している。
また同サイトでは、栄養剤、ポータブル空気洗浄機、救急用具、心拍計などの製品も販売している。医薬・医療用品卸業者であるバーゲン・ブランズウィッグ社と提携し、今年8月より歯磨きなどのパーソナルケア製品1万9000点の販売も開始した。製品の供給・発送は、バーゲン・ブランズウィッグ社が行なう。
とはいえ、同社が今後の主力商品と見込んでいるのはあくまでCT1、BC1の2製品(および付随サービス)。同社では、他の健康・医療サイト、ビタミン販売サイトなどでCT1、BC1を宣伝し、同時にコンテンツを提供している。
また米国エアロビクス協会/国際スポーツ医療協会、米国エアロビクス&フィットネス協会などの健康・フィットネス関連団体と提携し、ワークショップや見本市、DMでも積極的にこの2製品を宣伝。医薬・提携会社、バーゲン・ブランズウィッグが全米に2500店展開している薬局ネットワーク、Good
Neighbor Pharmaciesでも販売するという。
「今後はCT1やBC1に加え、消費者および臨床試験用に、視力、色盲検査、体重測定、血圧、心拍測定、聴力検査、呼吸器官機能検査(肺活量測定)などの機器を開発していく予定です。」(コリンズ社長)
有元美津世/ベンチャーリンク誌2000年9月号掲載 Copyright GloalLINK
1997-2000
Revised 10/1/2000 web2@getglobal.com
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