5業態のFCを全米で展開
最近、日本の若者の間でアメリカの古着や中古運動靴が流行っているようだが、アメリ カでは、中古品をフランチャイズ販売している会社がある。ミネアポリスに本拠を置くグロウ・ビズ・インターナショナルでは、中古品の買取、販売、委託販売をする5つのフランチャイズチェーンを経営している。ゴルフクラブ、野球バット、テニスラケットからローラーブレーディング、スノーボード、エクソサイズ機器まで、あらゆるスポーツ用品を扱うプレイ・イット・アゲン・スポーツ(PIAS)、オモチャ、衣服、家具などの子供製品を販売するワンス・アポン・ア・タイム(OUAT)、コンピューター製品専門のコンピューター・ルネッサンス(CR)、ギター、キーボード、シンセサイザー、アンプリファイアーなど楽器・音響製品を扱うミュージック・ゴー・ラウンド、CDを販売するディスク・ゴー・ラウンドの5部門から成る。
育ち盛りの子供を持つ家庭を対象に、子供用品、スポーツ用品、楽器など、子供の成長に伴い、何度も買い直さなければならない商品が中心だ。
各店では、消費者から中古品を買い取り、新品の3分の1から2分の1の価格で販売する。 たとえば、ディスク・ゴー・ラウンドでは、週に1000枚のCDを2ー5ドルで購入し、6ー8ドルで販売する。また、小さくなったものを大きなサイズと交換したり、使わなくなった品を別の商品と交換することもできる。
現在の店舗数は1200。(各部門の内訳は別表の通り。)そのうち、21店は直営店で、新製品のテストや研修目的に使用される。また、アメリカ以外にも、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアに店舗を構える。
最も古いプレイ・イット・アゲン・スポーツ(PIAS)は、全州に店があり、店舗数は710。全米で5番目に大きいスポーツ用品チェーンでもある。新店舗の半分が、既存のPIASオーナーによって設立される。PIASでは、他の部門に比べ、新品の割合が多いが、これは、最も成熟した部門であり、扱い量が多いためだ。扱い量が増えると、中古品だけでまかなうのは、難しくなる。
グロウ・ビズ・インターナショナルは、元々、このプレイ・イット・アゲン・スポーツを母体に始まった。86年、オルソン社長は、父親が創業した補聴器製造会社のフランチャイズ化で成功したダールバーグ会長とともに、フランチャイズ・ビジネス・システムズ(FBS)を設立し、フランチャイズの開発・マーケティング・投資に関するコンサルティングを行なっていた。87年、ミネアポリスでプレイ・イット・アゲン・スポーツ(PIAS)を経営していたマーサ・モリス氏が、同店をフランチャイズ化するためにFBSを訪れた。「中古のスポーツ用品など売れるわけがない」と一笑にふした両氏だったが、モリス氏が3時間で3000ドル相当の商品を販売するのを目のあたりにし、認識を改めることとなった。
両氏の手により、1店のみであったPIASは19店舗のフランチャイズチェーンへと成長した。しかし、オーナーのモリス氏は、フランチャイズ化したPIASに興味を失い、90年、両氏に売却。
PIASの経営により、中古品市場が予想よりも大きいことを知った両氏は、他のフラチャイズにも手を広げることにした。「安定した成長の見込める産業」ということで、子供服のフランチャイズを物色。92年に、オハイオ州で22の店舗を構えていたワンス・アポン・ア・タイムを購入。93年には、やはり、FBSのクライアントであったミュージック・ゴー・ラウンドとコンピューター・ルネッサンスも購入。同年、同社は、NADAQで株式公開を果たした。さらに、翌年には、ディスク・ゴー・ラウンドを購入。
3年半で、年間売上5180万ドル、258%の成長率を達成した同社は、94年、フォーチュンとインクの両誌で、「最も急速に成長している企業ナンバー1」に選ばれた。
「パパママ経営の個人商店に近代的な経営テクニックを応用しただけ」というダールバーグ会長だが、同社が成功した理由をオルソン社長は、こう語る。「第一に、過去20年間、アメリカ人8割の収入がほとんど伸びず、購買力を失ったため、安価なものを好む傾向にあったこと。次に、80年代後半から、省エネ、リサイクリング意識が高まり、人々が不用品をリサイクルするようになったこと。さらに、80年代から90年代にかけて、企業のダウンサイジングによって職を失なった中間管理職らが、独立したこと。彼らは、必要な事業資金と、ビジネス経験を備えており、フランチャイズオーナーとして最適だった」
フランチャイズのオーナーになるには、最低10万ー20万ドルの資金が必要である。現に、グロウ・ビズのフランチャイズオーナー の多くが、年齢35ー45才の大卒、30万ー40万ドルの純資産を持った元サラリーマンであるということだ。
ディスク・ゴー・ラウンド(DGR)のフランチャイズオーナーは、他の部門より、年齢が若く、親が成人した子供に購入してやる場合も多いという。他の部門に比べ、必要投資額が低く、経験を要せず、最も運営しやすいビジネスであるためだ。
「今後も、プレイ・イット・アゲン・スポーツが、当社の最大のビジネスであることには変わりないが、最も大きな成長を示しているのは、コンピューター・ルネッサンスだ」(オルソン社長)また、まだまだ店舗数は少ないものの、ミュージック・ゴー・ラウンドも同様の伸びを示している。
グロウ・ビズでは、現在、さらに300店舗を開発中で、「年間250の割で増やし、5年後には、今の2倍の大きさにしたい」とオルソン社長は意気込む。
また、CR, MGRの日本への進出も、現在、交渉中であり、今年中に、日本第一号店がオープンする予定だ。