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『英文ビジネスレター実例集』
第1章

礼儀にかなった手紙

 英文のレターを書くうえで、「どこまでが失礼にあたらないか、どこからがていねいすぎるのか判断できない」という悩みをよく耳にします。下記は日本人がよく使う表現で、礼を欠く可能性があるものです。

1. Please
「〜をしてください」という意味でPlease〜と書いていい場合もありますが、使い方によっては命令口調になります。

 X Please respond promptly. (すぐに返事をください。/すぐに返事をしなさい。)

 「あなたはいつも返事が遅いから、今回はさっさと返事をしなさい」というニュアンスです。何度も催促しているのに先方から返事がないのであれば、こうした口調でもかまいませんが、初めての手紙やこちらから依頼をする場合には、失礼にあたるでしょう。

 ○ I look forward to hearing from you soon.(すぐにお返事がいただけるのを楽しみにしております。)
    ある期日までに返事が必要な場合は、具体的な日にちを記します。
 ○ Please respond by February 24.
 ○  I'd appreciate it if you could respond by February 24.
   (2月24日までにお返事いただければありがたいです。)


2. I want to 〜
先方に依頼する際にI want to〜を使うと非常にぶしつけに聞こえますので、なるべくI'd like to〜を使います。

 X I want to visit your company and I want to see you.
  ○ I'll be in San Jose during the week of May 4. If you are available, I'd like to visit with you.
   (5月4日の週にサンノゼに滞在していますので、お時間があれば、うかがいたいと思います。)
または
 ○  I'd like to schedule an appointment for that week if you have the time.
    (お時間があれば、その週にアポイントを取りたいのですが。)


3. I ask you 〜
「お願いします」という意味で使うのでしょうが、これでは命令口調になります。

 X I ask you to do a book search again for the following books:
   (次の本について、また調査を頼みます)
 ○ I'd like to ask you to do another book search for me for the following books:
 ○ May I ask you to do a book search again for the following books:


4. I need〜
これも、使い方によっては命令口調となります。
たとえば、上司から"I want to see you in my office this afternoon."と言われれば、「何か用事があるのかな」という感じですが、"I need to see you in my office this afternoon."であれば、"You're in trouble."つまり、「ヤバイ」という状況です。

  X I need your payment by March 31.(3月31日までに支払が必要です。=来週までに支払え。)
何度も催促しているのに相手がなかなか払ってくれない場合は、この表現でもかまいませんが、そうでなければ、次のようになります。

  ○ The payment is due March 31.
  ○ I look forward to your payment before March 31.


5. You'd better〜
You'd better〜は「〜したほうがよい」と解説している英語の教科書や参考書がありますが、これはまったくの誤訳で、「〜しなさい。さもないと...」というニュアンスです。

 X You'd better call him now. (さっさと彼に電話しろ。)
上司から部下へ指示や助言をする場合などは、
 ○  You should call him now. (すぐ彼に電話したほうがいい。=すぐに電話しなさい。)
 ○  I suggest that you call him now. (すぐ彼に電話したほうがいい。=すぐに電話しなさい。)
提案しているだけなら、
 ○  You may want to call him now. (すぐ彼に電話したほうがいいのでは。)
 ○  I think you should call him now. (すぐ彼に電話したほうがいいと思うけど。)
 ○  (I think) It's better to call him now. (すぐ彼に電話したほうがいいと思うけど。)
 ○  Isn't it better to call him now? (すぐ彼に電話したほうがいいんじゃないの?)
 ○  If I were you, I'd call him now. (私があなただったら、すぐ彼に電話するけど。)


6. I'm sorry. 
 日本人が書いた手紙で、下記の例のようにI'm sorryが繰り返し出てくるものを受け取ったことがありますが、そんなに謝罪を受ける覚えもありませんでしたし、卑屈な感じがして印象はよくありませんでした。これは、ひとつには日本語で「すみません」というところをすべてI'm sorryで置き換えているのが原因です。日本語の「すみません」は、状況と使い方によって英語のI'm sorry, Excuse me, Thank youにあたります。   I'm sorryを並べ立てたからといって「姿勢が低く、ていねいだ」とは解釈してもらえません。けげんに思われるか、自信のない人間と映るだけでしょう。実際に謝罪が必要な場合でも、謝るのは初めと終わりだけで十分です。それよりも、どういう対応をするつもりなのか、行動に焦点を絞ります。

 また、謙遜の意味で「英語が下手ですみません」「私の稚拙な英語で意味が通じるかどうか不安なのですが」ということを書く必要はありません。もし意味が通じるかどうか不安なのであれば、もっと英語ができる人に書いてもらったり、ネイティブスピーカーに見てもらい、意味が通じることを確信してから出すべきです。意味が通じるかどうかわからないものを送るのは、送信者、受信者双方にとって時間の無駄ですし、プロフェッショナルなイメージを与えません。手紙は目的をもって書かれるものです。その目的は英語の練習ではないはずですから、意味が通じず、手紙の目的を達成できないのであれば、そうした手紙を送ることは意味がないでしょう。

  X I'm sorry that I did not respond sooner. I was out of town last week.
I'm attaching the information you requested. I'm terribly sorry I couldn't send it by Friday. I'm sorry if this has caused you inconvenience.
I'm really sorry.

  ○ I'm sorry that I did not respond sooner. I was out of town last week.
I'm attaching the information you requested. I hope the delay has not caused you serious inconvenience.

If you need additional information, please let me know.
  X I'm sorry to visit you when you were really busy yesterday.
I'm sorry for your trouble to get me the sample. I'm sorry to bother you again, but it was not the sample we wanted. Could you send me the correct sample? I'm terribly sorry for your trouble.

 ○ Thank you for taking time out of your busy schedule to see me yesterday.
I appreciate your getting me the sample, but it turned out that it was not the sample we had asked for. Could you send me the correct sample? I would appreciate it very much.


説得力のある手紙の書き方
 説得力がある効果的な手紙を書くためには、まず、手紙を書く前に、次の3点を明確にする必要があります。

1)なぜその手紙を書く必要があるのか
2)対象は誰か
3) その手紙によって相手に何をしてほしいのか
 これらが明確になれば、その手紙で伝えたいポイントを見きわめます。そして、そのポイントを裏づけたりサポートしたりする事実・実例を挙げます。相手の返事、何らかの行動を求める場合は、最後の段落で促しますが、できるだけ具体的な日付を挙げ、また相手が反応するためのインセンティブを与えます。

1. 効果的な手紙の組み立て方のポイント
  説得力のある手紙にするためには、下記のチェック項目を参考にするといいでしょう。
・悪い知らせの前にいい知らせを書く
・依頼の前にその理由、根拠を書く
・説明の前に回答を述べる
・説明の前に結論を書く
・詳細の前に概要を書く
・具体的事項の前に一般的事項を書く

2. 説得の仕方
  日本では、相手の情に訴えることによって説得する方法がよく使われますが、「直線的思考」をすると言われる欧米人には、この説得方法はあまり効果がありません。彼らにとって、理性によって支配されるべき交渉・説得のプロセスに感情が入る余地はないのです。彼らを説得するには、論理的に説明し、理性に訴えるほうが効果的です。
 友人が昔勤めていた在日アメリカ企業では、アメリカ人の上司がリストラのため成績の悪い営業マンのクビを次々に切っていました。日本人の支店長が部下を救おうとアメリカ人上司に説得の手紙を書きましたが、功を奏しませんでした。その説得方法が、「彼はこんなに努力しているのだから」というものだったからです。
「直線的思考者」に努力を訴えても徒労に終わるでしょう。社員を救うには、努力ではなく成果に焦点を当てて、「その社員が会社にどれだけの貢献をし、今後会社の建て直しにどれだけ寄与できるか」を、具体的な数字や例を挙げて説明することが必要だったのです。

たとえば、日本市場から製品を一部撤退しようとしているアメリカ企業の本社に日本支社が撤退反対を訴える場合、「当社の顧客は、われわれを信頼し、20年も取引を続けてくれた。20年ものビジネス関係をそんなに簡単に切るわけにはいかない。われわれはお客の信頼を得るために多大な努力をしてきた。そんなに簡単に長年の客を切られては、われわれの努力が報われない」というような説明の仕方では、アメリカ人を説得することはできません。何十年取引しようが、信頼を裏切ろうが、もうからなければ商売を続ける意味はないからです。大事なのは、ボトムライン(最終利益、バランスシートの最後の行のこと)であり、それも短期間で達成されるものでなければなりません。顧客をキープすることが、10年、20年後のボトムラインに利益をもたらしても、現在の経営者には何のメリットもないのです。

アメリカ本社を説得するには、長年の顧客を失うことがどれだけの損失になり、(とくに短期的に)失った顧客を再度獲得するにはどれだけのコストがかかるか、維持すれば近い将来どれだけの利益につながるかを具体的な数値を挙げて説明しなければなりません。
 また、「○○をこうしてほしい」という依頼に対して「前例がないからできない」と回答したり、「○○はなぜそのようなシステムになっているのか」と聞かれたときに、「習慣だから」「慣例だから」といった回答をするのも十分な説明とは受け取ってもらえないでしょう。それが習慣であるならば、どうしてそのような習慣が生まれたか、なぜ現在でもそれが保持されているのか、根拠を示して論理的に説明しなければならないのです。
  X I'd like to beg you that you not fire him. He has a newborn baby. If he loses his job, his family cannot make a living.
(彼を解雇しないようお願いします。彼は家族を養わなければなりません。生まれたばかりの赤ん坊もいるのです。彼が仕事を失えば、家族は生活していけません。

  ○  I don't know if it's such a good idea to let him go. He was the driving force behind the successful launch of LS100. Having supervised him for over three years, I can tell you that he is not a "star" type and his contributions tend not to surface behind the glamorous achievements of Yamada and Okabe, but LS100 would not have been on the market without him.
(彼を辞めさせるのはあまりいい考えだとは思いません。 LS100発売の成功を陰で支えていたのは彼です。3年間彼を監督してきて言えることですが、彼は確かに「スター」的存在ではなく、彼の貢献は山田や岡部の輝かしい業績の陰に隠れてしまいがちです。しかし、 LS100は彼なしでは市場に出ることはなかったでしょう。)

  X I think we should continue to buy from Matsumoto Shoji instead of BestProduct. We have been doing business with Matsumoto for 20 years and we have built a good relationship. BestProduct is a newcomer. We don't really know them.
(われわれはベストプロダクトの代わりに松本商事から購入し続けるべきだと思います。松本とは20年間のつきあいがあり、よい関係を築いてきました。ベストプロダクトは新参者です。われわれは彼らのことをよく知りません。)

  ○  Over the last 20 years Matsumoto Shoji has consistently provided high quality and timely delivery. We have never had a problem of defects and their products and service have never failed to satisfy us and our customers. Unless we are sure that BestProduct can offer the same quality and reliable delivery for less, we should not risk our reputation.
(過去20年にわたり、松本商事は常に遅延なく高品質のものを出荷してくれました。欠陥品の問題があったことはなく、顧客もわれわれも、彼らの製品とサービスに満足してきました。ベストプロダクトがより低価で同等の品質の製品を間違いなく出荷できるという確証がないかぎり、われわれの評判を危険にさらすべきではないと思います。)

  X I'm terribly sorry, but I have to ask you to wait for the payment for a few more weeks. One of our major customers went bankrupt. This has caused us tremendous financial distress and I have also had to delay our payroll. Even with the financial hardship I imposed on them, our employees have been working hard to get new business. We have been doing business for over thirty years. You know me. I swear I will pay you, so please extend your understanding and kindness.
(誠に申し訳ありませんが、もう数週間支払いを待っていただくようお願いしなければなりません。主要取引先の一つが破産したのです。そのため財政的にたいへん苦しい状態になり、給料の支払いも遅れています。こうした財政難にもかかわらず、従業員らは新しいビジネスを得るために一生懸命働いています。30年以上もお取引させていただいています。私のことはご存じのはずです。必ずお支払いすることを誓いますので、どうかご理解とご慈悲をお願いします。)

  ○ We appreciate your patience about the payment. I'm writing to ask you to extend that patience a little bit longer. The bankruptcy of one of our major customers has left us with a rash of canceled orders, which wiped out our profits for this quarter. We are taking active steps to secure new business, as well as holding a discount sales on the overloaded inventory, to improve the cash flow. So you can expect our full payment within 30 days.
(支払いに関して忍耐強くお待ちいただいていることを感謝します。もうしばらくご辛抱いただければと思い、お手紙差し上げています。主要取引先の一つが破産したことで、注文のキャンセルが相次ぎ、今四半期の利益は吹き飛んでしまいました。キャッシュフローを向上させるために新しいビジネスを獲得したり、抱えすぎの在庫を値引き販売したり、積極的に対処しています。ですから、30日以内に全額お支払いできるはずです。)

  X We cannot discontinue the Avec line. It took our sales team 10 years of hard work to gain the current market share and the customers' trust. If the line is discontinued, we will lose their trust. Once it's lost, it's hard to regain it. They won't do business with us any longer.
(エイベック製品を廃止することはできません。現在の市場シェアと顧客の信頼を得るのに、営業チームは10年間努力しなければならなかったのです。もし廃止されれば、顧客の信用を失ってしまいます。いったん失われれば、再び獲得するのは難しいものです。もうわが社とは仕事をしてくれないでしょう。)

  ○ I understand your reasoning that the Avec line is not profitable and there's no point in continuing. However, I'd like to remind you that the discontinuation of the Avec line will affect the sales of other product lines. Five years ago, when the Polar line was discontinued, the sales of other lines declined 30% on average. We should not make the same mistake.
(エイベック製品が利益を上げておらず、続ける意味がないというのは理解できます。しかし、エイベック製品の廃止が、他製品の売り上げに影響を及ぼすということを考えていただきたいのです。5年前、ポラー製品を廃止した際、他の製品の売り上げが平均30パーセント下落しました。同じ間違いをすべきではありません。)

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