好調なeクリスマス商戦
景気は低迷を続け、失業率は上昇し、暗いニュースが続いた2002年だったが、最後は明るい話題で終わりそうだ。クリスマス商戦でオンライン売上が好調なのだ。
アメリカのクリスマス商戦は、毎年、感謝祭(11月の第3木曜)の翌日の金曜から始まるが、これまでのところ、オンライン売上は昨年の同時期に比べ30%伸びている。
各調査会社では、2002年のホリデーシーズンの売上は95億ドル〜156億ドルにのぼり、前年比14%〜32%伸びると予測している。
しかし、これは消費額全体が昨年よりも増えるということではない。全米小売連盟では、今ホリデーシーズンの小売業界全体の伸びは、前年比4%増の2093億ドルに留まり、2001年の5.6%よりも低い水準に落ち着くと見ている。
つまり、消費者がオフラインでよりもオンラインでの購入額を増やしているということだ。ある調査会社では、平均的消費者のクリスマスギフト用予算は計800ドルで、そのうちの約235ドルがオンラインで消費されると見積もっている。
もちろん、インターネット人口が増加した影響もある。今年はインターネットユーザ全体の40%がオンラインで購入すると予測されており、これは昨年の30%を10ポイント上回る。
消費者がホリデーショッピングをオンラインに比重を移している理由はいくつかある。まず、無料配送の普及だ。今年は、デパートのMacy'sやGAP、Barnesandnoble.comなどが条件付きで無料配送を提供している。
Amazon.comは、シーズン前から25ドル以上の注文に対して無料配送を行っている(ただし、おもちゃやビデオゲームなどは対象外。)
相手に送付しなければならないギフトでは、この無料配送というのは大きな誘因である。私の友人にもクリスマスギフトは、毎年すべてAmazon.comで注文するというアメリカ人がいる。住所を入力すればギフトラッピングをして相手に送り届けてくれるというのは、買物が嫌いな人、クリスマス前には戦場と化すショッピングモールや郵便
局に近づきたくない人にとっては、この上ないサービスなのである。
また、オフラインよりオンラインの方がバーゲンが多いというのも大きな誘因だ。さらに同じ店でも、オンラインの方が品数が多く、簡単に比較ショッピングができるというのは魅力である。
売上トップ小売サイトは、eBay、Amazon.com、Yahoo, Wal-Mart, BestBuy, AOLなど常連ぞろい--ネットバブル崩壊を生き残ったツワモノたちだ。ここ数年eクリスマス商戦を経験し、毎年顧客サービスやオンラインショッピング機能の向上に努めてきた。
クリスマスに間に合わせるにはいつまでに注文が必要か明示され、在庫状況もリアルタイムで表示されるため、注文後、数日して「在庫切れです」とか、「クリスマスには間に合いません」といったショッキングなメールが届くということがない。昨年、オンラインショッピングで満足した購入者の90%が今年もオンラインショッピングを行うといわれており、リピーター全体の層が厚くなっていることは確かである。リピーターの増加はオンライン販売にとって大きなプラスだ。
同時に、生き残り組みにとっては、バブルの頃に比べオンラインでの競争が減った分、やりやすくなったといえるだろう。 さらに生き残り組みのほとんどがマルチチャネル販売をする既存小売業者らだ。ここ数年で、複数の販売チャネルを統合し、クロスプロモーション術にも磨きをかけた。
今年は感謝祭が11月28日と遅かったため、ショッピングシーズンが昨年よりも6日少ない。そのため、小売業者らは早めに宣伝を始め、消費者らも早めに買物を始めたという側面もある。好調な売上は、クリスマス商戦が前倒しになっただけのことなのか、今後も続くのか--景気回復のためにもぜひクリスマス商戦に好調を続けてもらいたいものだ。
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