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イラク戦争(4) 石油産業、軍需産業との”癒着”


石油産業、軍需産業との"癒着"

 
ブッシュ政権の中心人物らにもう一つ共通するのは、石油産業や軍需産業とのつながりである。ブッシュ大統領は、78年にアルブスト・エネルギーという石油ガス会社を創立したが、つぶれかけたところを他社に買収され、その後、同社を買収したハーケン社の取締役を90年まで務めた。(父親のブッシュ元大統領は、多くの軍需企業に投資するMBO<マネージメント・バイアウト>企業、カーライルグループの上級顧問である。同社の顧問には米国だけでなく各国の元閣僚が名を連ねており、また9/11テロ直後までビン・ラディン一家も同社に投資していた。)

 チェイニー副大統領は、副大統領就任まで、世界最大の石油掘削会社ハリバートン社のCEOであった。同社の子会社、KBRが競争入札なしにイラクの油田火災鎮火を請け負ったことが、今、大きな波紋を呼んでいる。同社は2001年に国防総省よりコストプラス方式で上限なしの10年契約を獲得しており(つまり10年間、税金を使い放題)、湾岸戦争時のクウェートの油田火災鎮火作業、キューバのアルカイダ容疑者収容所構築、コソボの米軍基地建設、バルカン半島での軍サポートサービスなども請け負った。

  さらに、バルカン横断石油パイプライン<*>の建設を独占するAMBO(アルバニア・マケドニア・ブルガリア石油)借款団のCEOは、ハリバートンの子会社、ブラウン&ルートサービス社の元欧州アフリカ石油ガス開発担当取締役だ。日本でもお馴染みのアーミテージ国務副長官は、就任前までハリバートンのコンサルタントを務めていた。(父親ブッシュ政権時に国務長官だったイーグルバーガーは、現在ハリバートンの取締役。)

 国防総省とは別に、米国際開発局(USAID)によるイラク再建のための建設事業の入札には一握りの企業だけが招かれたのだが、ハリバートンはその一社である。招かれた大手請負企業のほとんどで、元閣僚、官僚が取締役として就任している。(なお、これらの大手請負企業には、軍需産業と建設産業の両方に関与しているところがある。つまり、自ら破壊した後、再建するのである。)
 なお、チェイニー夫人は、2001年まで世界最大の軍需企業、ロッキード・マーティン社の取締役を務めていた。

軍需産業のドリームチーム?

 3月に、破産したグローバル・クロッシングの売却をめぐる口利きスキャンダルで、パール国防政策委員会委員長が委員長を辞任したが(委員は続けている)、国防政策委員会の30人の委員のうち少なくとも9人が、2001年〜2002年に計760万ドル以上の事業を国防総省から請け負った企業(ボーイング、TRW、ノースロップ、ロッキード・マーティンなど)と関係がある、と非営利団体の政治倫理センターが伝えている。同委員会の委員は国防省政策担当次官によって選ばれるのだが、現国防省政策担当次官は、弁護士として武器メーカーを含む多くの在米イスラエル企業をクライアントにもつフェイス次官だ。

 パール国防政策委員には、同氏が共同経営者である国土安全保障防衛分野のベンチャーキャピタルへのサウジ富豪(一人は武器商人)からの投資勧誘疑惑もある。

 その他、ライス国防担当補佐官は大手石油会社シェブロンの元取締役、ハリルザド特使は大手石油会社ユノカルの元顧問(タリバンとパイプライン建設を交渉)、エバンズ商務長官は石油会社トム・ブラウン社元社長など、ここでは挙げ切れない。イラク暫定政権の統治責任者に任命されたガーナー元陸軍司令官は、今回の任命まで、イラク攻撃に使われたパトリオットミサイルに関し技術サービスやアドバイスを提供するSYコールマン社の社長を務めていた。

 ブッシュ政権を「軍需産業のドリームチーム」と揶揄する人もいる。ちなみに、日本の「天下り」のアメリカ版は「回転ドア」と呼ばれる--元官僚、閣僚らが、政府と企業の間を行ったり来たりするからだ。

 なお、ブッシュ政権と財界とのつながりの一覧表日本語版はここで閲覧可(ただし、その正確性に関して筆者は関知していません)。

<*>カスピ海の石油を黒海からタンカーで運び、バルカン半島経由で欧州に輸送するためのパイプライン。コソボ紛争にも石油がからんでいた。


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