世界で通用するためには
海外で就職するには

アメリカ企業への就職
〜石田さんのアドバイス〜

雇用主が知りたいのは会社に何をしてくれるか

 前回、石田さんの面接の話を紹介したが、先月、失敗例として挙げたAさんの例を思い出してみよう。Aさんを面接したさい、英語の筆記能力の評価も兼ねて、5年後、3年後、来年の目標を書いてもらった。 私が見たかったのは、彼女のキャリア目標である。しかし、彼女が書いた目標とは、「家や車を買いたい」「キャリアを築きたい」というものだった。キャリアを築き、たくさんお金を稼いで家や車を買うのは結構なことだが、これからあなたを採用しようとしている企業が知りたいのは、そうした個人的な物欲の話ではない。
また、「キャリアを築きたい」と言うだけで、具体的にどういったキャリアを築きたいのか、何をしたいのかが、まったく書かれていなかった。
さらに、Aさんの視点はすべて「自分」である。自分がほしいもの、企業が自分にしてくれるものの羅列で、相手の視点、「自分が企業にとって何ができるか」が完全に欠落していた。

将来の目標というのは、アメリカ企業の面接でよく聞かれる質問だが、雇用主が知りたいのは、応募者が自分の成長に伴い、会社にいかに貢献できるかなのである。

一定レベルに達するまでは、ただ働き

 さて、話を石田さんの話に戻そう。アメリカ企業で働いて2年半になる石田さんはこう語る。
「アメリカの会社では、人材を長期的視野で見て投資し、育てていくというスタンスはありません。上司も部下を教育したということでは会社に評価されないため、個人の好意による指導はあっても、ビジネス上で部下の教育が行なわれることは稀です」
たとえば、石田さんの場合、デザインにCAD等のコンピューターを利用するが、完璧に使いこなせるようになるまで、コンピューターによる作業時間は給料に反映されないという。
つまり、作業スピードが一定レベルに達するまでは、ただ働きをしなければならないということで、実務に必要なスキル習得のための時間と費用は、すべて自分で負担するということだ。
石田さんは、「アメリカにはそうした、徹底したドライな雇用関係が存在することを認識し、まず誰にも負けない本当の実力をつけ、人との差別化をはかり、勝負する必要がある」といいます。

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Revised 2/8/99