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Vol.11 Winter 2005-2006

テキサスから新年のご挨拶

 グローバルリンクは、2005年夏、テキサス州ダラスに移転しました。
 
全米第2の州

 「テキサス」といえば、アメリカ人でもまず思い浮かべるのが「カウボーイ」に「ブッシュ大統領」。カウボーイや牧場を想像してダラスやヒューストン、州都オースティンを訪れると、想像とはまったく違う大近代都市に驚くはず。
 テキサス州といえば、数年前にニューヨーク州を抜き、カリフォルニア州に次いで人口の多い(2250万人)、全米第2の州となりました。メキシコとの国境に接しているため、ヒスパニック系住民数もカリフォルニアに次いで第2位。2004年、ハワイ、ニューメキシコ、カリフォルニアに並び、少数民族が人口の半数以上を占める州の仲間入りをしました。
 アジア系は少ないですが、テキサス州最大の都市(全米4位)、ヒューストンは、全米でカリフォルニアに次いでベトナム系住民が多い地域なのです。テキサス州第2の都市、ダラス(人口120万人)にもベトナム系住民が多いので、おいしいベトナム料理には事欠きません。(どのチャイナタウンにも負けないおいしい飲茶もあります。

 
一大都市圏DFW(ダラス・フォートワース)

 ダラスを訪れたことのある人ならご存知のように、ダラスの空港はダラス・フォートワース国際空港――空港がダラス市とフォートワース市の間に位置するからなのですが、この2都市が一大都市圏(人口560万人、略してDFW)を成しています。ダラスがコスモポリタンなビジネス都市であるのとは対照的に、フォートワースのあだ名は「カウタウン(牛の町)」――まさに、テキサスと聞いて皆が思い浮かべるカウボーイの町です。(観光名所に元家畜取引所のストックヤードがあります。でも、安藤忠雄氏が設計した現代美術館もありますので。)
 テキサスの産業といえば、「石油」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ダラスの経済が石油産業に頼っていたのは昔の話。1980年代までに石油産業はヒューストンへと移転しました(ヒューストンの経済も、オイルショックの教訓から今では多様化しています)。
 ICチップを発明したテキサス・インストラメンツ(TI)を初め、ダラスにはIT関連企業も多く、「テレコムコリドー(通信回廊)」と呼ばれる地域(グローバルリンクが位置するリチャードソン市が中心)には、ITバブル期、600以上のハイテク企業(エリックソンの北米本社、ノーテル、富士通ネットワークコミュニケーションズ等の大手通信企業)が集まっていました。IT・通信バブル崩壊後、1万5000人の失業者が出たといわれますが、“シリコンヒルズ”と呼ばれるハイテク都市、オースティンに比べると、ダラスの経済は多様化しているため、ITバブル崩壊の影響は小さかったといえます。
 ダラス本社の大企業には、セブンイレブン、エクソンオイル、EDS(ロス・ペローが創立)、ノキア(アメリカズ)、キンバリークラーク、JCペニー、ニーマンマーカスなど。ちなみに”カウタウン“にも、アメリカン航空やレディオジャックの本社、ロッキードマーティンなどがあります。

相次ぐ他州からの企業流入

 ITバブル崩壊からやっと回復し始めた地元経済ですが、テレコムコリドーには、非IT・通信企業が増えており、最近ではハイテク企業の割合は55%ほどとのこと。地域に進出している企業の多くがカリフォルニアなど他州から来ており、グローバルリンクの元拠点、オレンジ郡に本社のあった大手ゼネコン・エンジニアリング会社のFluorも、2005年、ダラスに本社を移転しました。
 実は、DFWは、2004年、全米でもっとも企業の流入や拡大が多かった都市圏であり、その企業の多くがカリフォルニアからやってきました。2004年の調査では、州外に移転を予定しているカリフォルニアの企業の35%がテキサスを目指しているということです。
 カリフォルニアからどんどん企業がテキサスに移転する理由には、不動産の高騰をはじめとする経営コスト高、ビジネス活動を麻痺させ、生産性を低下させる慢性的交通渋滞(渋滞を避けるには昼間の数時間の間に移動するしかない)、企業劣遇州法制度などがあります。
 それに比べ、テキサスは不動産が非常に安く(とくに住民の収入に対し)、大学も多く質の高い労働力が豊富です。
 さらにテキサスの地理的優位性があります。カリフォルニアは東時間と3時間差があるため、東海岸とビジネス時間が重なっているのは5時間ほどしかないのです。そのため、東海岸の9時に合わせて6時始業の企業もカリフォルニアにはあるのです(とくに金融関連は株式市場が開いている時間に仕事をしないと話にならない)。テキサスの場合、東海岸とは1時間、西海岸とは2時間差なので、両海岸と重なっている時間帯が長いというメリットがあります。
 また、移動時間と時差のため、出張の際、西海岸から東海岸に移動するだけで一日がつぶれてしまいます。テキサスからであれば、アメリカのどこにでも2、3時間で移動でき、流通・ロジスティックス面で非常に有利なのです。

不動産バブルの影響

  こうした企業の流入に伴い、他州からテキサスへの移住者も増えているのですが、とくにカリフォルニアからの人口流入が目立ちます。実は2004年だけでも、カリフォルニアから50万人が他州に転出し、他州からの転入者を10万人上回りました(ただし、海外からの移民が多いため州の総人口は増加)。
 州外への転出者が増えている最大要因が不動産価格の高騰です。カリフォルニアの大都市圏では、築30〜40年の一戸建てが7000万円以上、賃貸ワンルームが月12、3万円以上するため、カリフォルニアで住宅購入や賃貸のできない人、持ち家の高騰で一財産築き、他州に移住して引退する人などが続出しています。(ちなみにテキサスでは新築の大きな家が2000万円以下、中古であればプール付きの大きな家が2000万円前後で買えます。)
 さらにアメリカには、投資用不動産を売却した場合、規定の条件内、期日以内に代替物件を購入すれば、キャピタルゲイン税を先送りできる制度があります。そのため、カリフォルニアからは巨額の不動産資金が、他州に流れているのです。
 歴史的に、カリフォルニアからの人口流出先は近隣のネバダやアリゾナ、オレゴン、ワシントンなどが多いのですが、ラスベガスやフェニックスの不動産が高騰し、さらに東(ニューメキシコ、テキサス)へと流れています。すでにテキサスの各都市にはカリフォルニアの不動産マネーがあふれています(価格の上昇にはまだつながっていませんが)。
 東西両海岸の不動産バブル崩壊が、テキサスの経済に吉と出るか、凶と出るか、両論ありますが、来年、GlobalLINKERをお届けする際には答えが出ているかもしれません。  
旧年中は大変お世話になりました。新年もよろしくお願い申し上げます。           

(有元)

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