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日本では「住基ネット」が開始され、大きな議論をかもしている。個人情報保護法やセキュリティが未整備のままの見切り発進に対する懸念はわかるが、住基ネットそのものに対する反応は異常ではないか。
アメリカでは、昨年のテロの後、全国民、在米外国人を対象に国家IDカードを発行するという構想が打ち出されている。アメリカでは、運転免許証が身分証明書として使われており、運転免許証がなければ日常生活もままならないといっても過言ではない。やはりテロ後、運転免許証の不正取得を防ぐために、運転免許証をICカード化し、かつ各州の運転免許証システムをつないで全米ネットワークを構築し、さらにソーシャルセキュリティ(社会保障)や移民局のシステムもこれにつなごうという動きもある。
アメリカでは国民総背番号制は昔から導入されており、社会保障番号があらゆる場合にID番号として利用されている。もともと、社会保障提供の目的にだけ利用されるはずの番号であったが、今では運転免許証を取るにも、銀行口座を開くにも、この番号が必要だ。
当然、国民全員が義務付けられている確定申告にも必要である。最近ではオンラインで確定申告をする人も増えており、歳入庁はコスト削減のために、オンラインでの申告を奨励している。
しかし、このシステムは外部から簡単に侵入可能であることが政府内の調査で明らかになっている。昨年は、社会保障庁のウエブサイトがハッカーに侵入されて問題になった。
しかし、社会保障番号を盗み、他人の年金を引き出すといった詐欺は、インターネットが登場する以前からよく起こっていた。そうした悪事は総背番号制があろうがなかろうが、個人情報がネット化されようがされまいが、起こる。日本でもパスポートが偽造されたり、住民票が勝手に移されていたりということが起こっている。
反対に、顔写真のない保険証でお金が借りられるなど、アメリカでは考えられよないようなことも日本では許されている。
(アメリカではあたり前の)銀行のペイオフの問題にしろ、日本ではマスコミなどが不必要な恐怖心をあおっているように思えて仕方がない。
有元美津世/東京新聞・中日新聞「アメリカ便り」2002年8月掲載
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