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「e-net −アメリカ便り」


−インターネットカフェ−


 
 先月、ビジネスで日本に一時帰国したついでにベトナムを訪問した。ホーチミンでは、インターネットカフェがそこら中にあるのには驚いた。道路などのインフラがまだ十分整っているとはいえない同市に、これだけインターネットが普及しているとは。もちろん、外国人観光客をターゲットとした商売だ。

  私が宿泊していたホテルの近くにあるカフェでは、料金は1時間約100円だったが、バックパッカーが集まる安宿の多い地域では、もっと安いところもあった。日本語対応のコンピューターも置いており、日本語でのメールの読み書きもできる。

  一応、ブロードバンドを使っているのだが、スピードは恐ろしく遅い。日本やアメリカのダイアルアップ接続よりもまだ遅く、実際にメールを読み書きしている時間よりも、待ち時間の方が長いのだ。

  東京で滞在したホテルでは、部屋からインターネットに接続できなかった。日本の古いホテルではよく同様の問題に直面する。利用している交換機が古いのがその一因だ。

  そこで、今回、東京ではキンコーズでインターネットを利用した。たいていのビジネス街にあるので、行く先々で利用できて非常に便利だ。10分210円と、ベトナムに比べてかなり高いが、ベトナムのインターネットカフェで1時間かかる作業が、日本のキンコーズでは10分でできるため、単純に比較はできない。

  世界の主要都市に広がる便利なインターネットカフェだが、深刻な問題も抱えている。国境を越えて活動するテロリストや過激派といわれているグループのテロや誘拐など犯罪行為の通信連絡にもインターネットカフェが良く利用されているともいわれている。

  といって、公衆電話のインターネット版ともいえるインターネットカフェをモニターしたり規制したりするのは、実質不可能に近い。キンコーズでは、利用の際に氏名や電話番号を記入しないといけないが、それが本当のものかどうかを調べるわけではない。

  インターネットの利便性やプライバシー保護と、テロや犯罪の防止のどちらを優先するかというジレンマは、グローバル化した情報社会の永遠のテーマだろう。

 

有元美津世/東京新聞・中日新聞「アメリカ便り」2002年5月掲載
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