増加するオンライン購買ネットワーク |
<MRO購買ネットワーク>大企業では間接資材が運営コストの25〜60%を占めると言われ、売上数億ドルの企業では、購買プロセスをオンライン化することによって500万〜1000万ドルのコスト削減につながるという。そのため、社内でイントラネットベースの購買システム、供給業者との間でエクストラネットを構築する企業が増えている。
フォレスターリサーチがインターネット上で10万ドル以上の購買をしている大企業50社を調査したところ、MRO(maintenance, repair and operations業務用備品)注文総額の12%、約20億ドルがネット上で注文されているという結果が出ており、2000年には55%、324億ドルに達すると予測されている。
今後大きな成長を期待されている企業間ECの中でも、特にMRO市場が企業間取引総額の4割以上を占めるとし、同市場をターゲットとしたオンライン購買ネットワークビジネスが増加している。主なネットワークには、大手工業用品ディストリビューター、Fisher Scientificの子会社Fisher Technologyが運営する MRO調達オンラインモールProcureNet(http://www.procurenet.com) 、GEのTrade Process Network(http://www.tpn.com)、大手MRO製品ディストリビューターのGraingerによるgraigner.com (http://www.grainger.com)、業界誌Industrial DistributionによるManufacturing Marketplace (http://www.manufacturing.net)などがある。
電気、工業、化学、事務製品などのMRO製品調達における購買プロセスの簡素化を狙ったProcureNet (http://www.procurenet.com)では、 供給業者が会社概要、製品仕様、技術情報などの情報を掲載した電子カタログを掲載し、オンライン、電子メール、ファックスによる注文が可能である。また、購買者には、直接業者に発注するか、別のルート(代理店など)で注文するかのオプションが与えられる。供給業者にアンケートを取ったところ、オフラインに比べ、注文量が5割増という結果が出ている。
他のサイトと違い、各社のカタログを見たり、問い合わせをしたり、価格を尋ねるのに、一切登録を必要としないが、注文するには、業者の現存の認可プロセスであらかじめ認可を受け、ID番号やパスワードを受け取る必要がある。
ProcureNetでは、今後、定価ではなく、会社ごとの契約価格や在庫状況の掲載、EDIの導入も予定している。また、インターネットやイントラネット用に独自のECシステムを開発しており、ウエブサイトを各社の従来のレガシーシステムへの接続が可能なシームレスオペレーションに力を入れている。
Trade Process Network(http://www.tpn.com)は、GEがベンダとの取引に使用していたエクストラネットを社外向けにサービス化した取引ネットワークである。元々、GEの購買プロセス簡素化、サイクル時間短縮化による購買生産性の向上を目的に設立され、 97年、TPN上でのGEグループによる購入総額は10億ドルに達している。
TPNでは、大企業の入札プロセスを電子化し、売り手と買り手を引き合わせてRFQ(Request for Quote)の交換や注文をオンライン化することにより、取引の低コスト化、効率向上を目的としている。
供給業者は事業内容や会社概要に関する情報をオンラインで登録し、購買者はSICコード、業界、社名、地域、DUNS番号で供給業者を検索でき、基準・条件に合った供給業者のみにRFQを送る。
97年、Thomas Register発行者のThomas Publishingとジョイントベンチャーを設立。Thomas Registerの分類システムを用いてTPNCommunityのデータベース検索を可能にし、55000の製品カテゴリーに関する製品・供給業者情報を掲載したThomas Publishing Onlineのソーシング・購買サービスをTPNPostに組み入れる予定である。また、15万社以上のThomas Register掲載業者をTPNに参加させ、TPNPostを通じRFQを受け取れるようにする。
今のところ、 GEグループが主な購買者だが、今後、大企業を加え、その供給業者の参加を促す予定だ。
<政府および公共部門>こうしたオンライン購買ネットワークは、企業だけでなく、大学や政府でも積極的に取り入れられている。 96年、MIT(マサチューセッツ工科大学)のサプライチェーンを改善し、エンド・トゥ・エンドのインターネットコマースソリューションを構築することを目的とし、エクストラネットアプリケーションECATが開発された。これは、後に、企業間売買のためのオープン標準、OBI(Open Buying on the Internet)の開発につながっている。
同じく96年、ペンシルバニア大学(http://www.purchasing.upenn.edu)では、学内の購買プロセスを簡素化するためにオンラインモールを設立した。個々のユーザは、大学のウエブサイトで製品カタログを閲覧し、学内のネットワークを通じて注文を送付する。これは、承認のために自動的に購買担当者へ送られる。ユーザは、必要な品を得るのに購買担当者が処理してくれるのを待つことなく、かつ購買担当者はペーパーワークの大部分を占めていた細かい注文の処理作業から解放されるというメリットがある。(つまり、購買側はユーザに情報を提供することにより、購買の管理から解放されるといことだ。)
一方、米国連邦政府は、94年に施行された連邦調達簡素化法により、5年以内に現在のペーパーベースの調達プロセスから、より迅速で効率がよく、アクセスが容易なブルテンボードシステムに移行することを義務づけられている。最終的には、25万ドル以下の入札情報が掲載されるのは、このブルテンボードのみとなる。連邦政府による調達の9割が10万ドル以下であるので、ほとんどの入札情報がオンライン化されるということであり、オンライン対応をしていない業者は入札情報すら入手できないということになる。
現在、ほとんどの政府機関が、製品の比較のために10~15のサイトに訪れることを余儀なくされているため、
eFed(http://www.efed.com)やFedCenter (http://www.fedcenter.com)などの業者は、政府が供給業者から直接オンラインで購入できるワンストップのサイトの構築を進めている。eFedは、まずNASAと陸軍用に30業者を迎えた購買システムを導入し、その後、1ヶ月に1機関の割合で加えていく予定である。
有元美津世 Copyright GlobalLINK
(財)科学技術と経済の会 『技術と経済』1998年6月号
JATESニュースレター97号(1998年5月13日)掲載
Revised 6/1/98 web2@getglobal.com